プレスリリース

2011年8月 9日

激動下の非鉄経営 トップインタビュー

三菱伸銅
橋田隆雄社長
中国で鉛レス黄銅棒拡販
銅厚板、新市場を開拓

--震災で需要環境が大きく変わったと思いますが。
「自動車や半導体向けの銅条が中心の若松製作所では1~6月期の生産が前年度比で約4千トン減った。うち震災による自動車減産の影響が濃かった4~6月で約2500トン分の減。自動車向けの減速に加え、半導体関連の電子材料も振るわず4~6月は震災前の7割水準の生産。底だった5~6月は臨時休業も導入した。ただ棒や厚めの板条など住宅・設備関係が多い三宝製作所では年明けから回復に入っている。1~6月で2事業所合わせると、昨年と同水準の生産水準は確保できた」

--7~12月期の生産についてはどのような見通しを。
「希望的な観測かもしれないが自動車関連の回復と、復興に向けた出荷要請の拡大などで6カ月通すと昨年下期比で7千トンほど増えるのではないかと考えている。年間総量でいけば三宝製作所を中心とした伸びで前年比8千トン増となる14万4千トンを見込んでいる。ただ住宅・設備関係では本格的に震災からの復興が進む時期が不透明。車載や半導体関連では7~12月の6カ月間で震災による減少分を巻き返せるかが課題だ」

--通年での収益目標については。
「製品構成では加工費が比較的小さい建築関連の比率が増えるが、コストダウンをよりいっそう進めて増益にできればと考えている。単体の業績は前年比4億円増の40億円。三宝製作所に大型の冷間圧延機を入れて、若松との間で生産品種を再編した効果も着実に出てきている」

--増益に向けて生産再編のほかにどのような具体策を。
「一番大きいのは歩留まり改善。溶解鋳造から最終製品まで総合的に見直していく。昨年比でいうと若松で4%、三宝で2・5%のアップを目指していく。上期までに半分ほど達成しており、今後も細やかな改善を重ねていく。加えて自動車メーカーが年度前半の減産を取り戻すために操業を高めても、9月で電力ピークカットが終われば震災前以上の出荷ができる体制を整えている」

--拡販に注力する製品群と、販売増に向けた施策は。
「11~13年を対象とする中期計画の期間で約2千トン生産を上乗せしたいと考えている。その大部分は鉛レス黄銅棒のエコブラスと銅板条だ。エコブラスは米国で水栓金具の鉛規制が出てくることが追い風になる。現在は一部の州の規制にとどまっているが、この流れは広がると思う。そうするとエコブラスの需要は拡大してくる。米国向けの金具は中国で切削加工しているものが多いので、当社としては中国市場に狙いを定めて売っていく。拡販には削粉を回収処理する仕組み作りが必要になる。青島に削粉をインゴットへリサイクルする工場を現地企業と合弁で建設している」

--銅板条についてはどの市場をターゲットに。
「再生可能エネルギーや省エネルギーなどのエネルギーと環境分野のマーケットへの拡販を計画している。具体的には次世代自動車やLED、スマートグリッド関連の部材が期待できそうだ。次世代自動車やLEDでは熱伝導性のよい銅は放熱板としての役割が高くなってくる。ここではある程度の厚みを持った銅板の需要があり、当社は三宝製作所の新しいラインを中心に、歩留まりや品質などに強みを出していきたい。用途の開拓では技術や開発などから人材が集まって新市場開拓チームを結成。各担当がアイデアを持ち寄りながら拡販に取り組んでいる」

--子会社の収益改善も重点項目に掲げていますね。
「パワー系半導体用のリードフレームを製造している後藤製作所では、リーマンショック以降高付加価値品に集中し好調に推移している。エアコン用の銅管部品を製造するサンボウシンドウタイランドでは、2つある工場建屋を新工場に集約して生産性を上げる。新工場は建屋を増設しておりすでに工事は終わった。設備の移設は年内に完了させたい」

「流通子会社の三宝メタル販売では在庫機能を拡充するため倉庫の移転を検討している。またマレーシアではパワーデバイス関連の加工事業も検討中。昨年で子会社は全て黒字化しており、今後も収益強化に力を入れいきたい」
(古瀬 唯)(8月9日付け鉄鋼新聞記事)

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